同じマンションなのに、なぜ売却価格が違う?マンション査定で本当に見るところ

「同じマンションの○階が3,500万円で売れたと聞いたのですが、うちもそのくらいで売れますか?」
マンションの売却査定をしていると、こうしたご質問をいただくことがあります。
確かに、同じマンションで実際に売れた価格は、査定をするうえでとても重要な資料です。土地や一戸建てと比べても、同じ建物の中に比較できる事例があるマンションは、価格を考えやすい不動産ともいえます。
ただ、同じマンションだからといって、同じ坪単価を当てはめれば査定価格が出るわけではありません。
例えば、同じ70㎡の3LDKでも、2階と10階、南向きと東向き、中住戸と角部屋では条件が違います。眺望や日当たり、室内の状態、リフォーム履歴によっても買主様の受ける印象は変わります。
さらに私が査定するときは、その部屋だけを見ているわけではありません。
同じマンションで現在何戸売りに出ているのか。近隣にはどんな中古マンションがあるのか。新築マンションとの価格差はどのくらいあるのか。管理費や修繕積立金、駐車場の状況はどうか。こうしたところまで確認します。
売主様にとって比較したくなるのは「過去にいくらで売れたか」ですが、これから購入する買主様が比較するのは「今、ほかに何が売りに出ているか」です。
ここはマンションの売却価格を考えるうえで、意外と大きなポイントです。
今回は、同じマンションでもなぜ売却価格に差が出るのか、そして私たち不動産会社がマンション査定で実際にどこを見ているのかを、静岡市で日々売却のご相談を受けている立場からお話ししたいと思います。
「同じマンションの○階が○○万円で売れた」うちも同じくらい?

同じマンションの成約事例は重要な査定材料です
マンションを査定するとき、まず確認するものの一つが、同じマンションの過去の成約事例です。
例えば、査定するお部屋が70㎡の3LDKで、半年前に同じマンションの72㎡の3LDKが3,500万円で成約していたとします。
これはかなり参考になります。
立地も築年数も施工会社も同じ。管理状況や共用部分なども基本的には同じですから、まったく別のマンションの成約事例と比べるより、当然参考になる度合いは高くなります。
私は査定の際、同じマンションに成約事例があれば、できる限り内容まで確認します。
いつ売れたのか、何階だったのか、専有面積はどのくらいか、どの向きなのか。売出価格はいくらで、最終的にいくらで成約したのか。
ここで意外と大事なのが、「いくらで売りに出ていたか」ではなく「いくらで実際に売れたか」です。
不動産情報サイトを見ていると、同じマンションの部屋が3,800万円で掲載されていることがあります。しかし、それはあくまでも売主様が現在希望している売出価格です。
3,800万円で広告されているから、そのマンションの相場が3,800万円とは限りません。
実際に売買契約になった成約価格と、現在売りに出ている価格。この二つは分けて考える必要があります。
ただし、その価格をそのまま当てはめることはできません
では、同じマンションで70㎡前後の部屋が3,500万円で売れていたら、自分の部屋も3,500万円なのでしょうか。
ここからが査定です。
例えば、成約した3,500万円の部屋が10階の南向き角部屋で、今回査定する部屋が3階の中住戸だったとします。
同じ70㎡前後でも、同じ価格で考えるのは少し無理があります。
逆の場合もあります。
過去の成約事例はリフォーム前だったけれど、査定するお部屋は数年前にキッチンや浴室を交換していて、室内もきれいに使われている。あるいは、同じ向きでも前に建物がなく、眺望が抜けている。
こうした違いは当然、査定に反映させます。
また、5年前の成約価格と半年前の成約価格では、同じようには扱えません。その間に周辺のマンション相場や住宅ローン金利、新築マンションの価格など、市場そのものが変わっている可能性があるからです。
ですから私は、
「同じマンションで3,500万円の成約事例がありますから、今回も3,500万円です」
という査定の仕方はしません。
その3,500万円という価格が、どんな条件の部屋が、いつ、どのような状況で売れた価格なのか。
そこまで見たうえで、今回のお部屋との違いを一つずつ確認していきます。
同じマンションの成約事例は、査定の重要な「基準」にはなります。
ただし、答えそのものではありません。
同じマンションでも価格差が出るのはなぜ?

階数・向き・眺望・角部屋か中住戸か
マンションの価格差というと、まず思い浮かぶのが階数ではないでしょうか。
一般的には、同じマンション、同じような間取りであれば、低層階より高層階の方が評価されやすい傾向があります。眺望や日当たり、外からの視線などを考えて、高層階を希望する買主様もいます。
ただし、「1階上がるごとに○万円高くなる」と単純に計算できるものではありません。
例えば、5階と6階では眺望がそれほど変わらなくても、8階を超えると前の建物より高くなり、急に視界が開けることがあります。この場合、単なる階数の違いよりも「眺望が抜けるかどうか」の方が評価に影響することがあります。
逆に、高層階だからといってすべての買主様が高く評価するわけでもありません。小さなお子様がいるご家庭や高い場所が苦手な方など、あえて低層階を希望されるケースもあります。
向きについても同じです。
南向きは日当たりの面から人気がありますが、東向きの「朝から明るい方がいい」という方もいますし、西向きでも眺望が良ければ、それを気に入って購入される方もいます。
角部屋は窓が多い、隣接する住戸が少ないといったメリットがあります。一方で中住戸にも、外気に接する面が少なく冷暖房効率の面でメリットを感じる方がいます。
つまり、査定では「南向きだからプラス」「中住戸だからマイナス」と機械的に決めるのではなく、実際にその部屋に入ったときの明るさや眺望、周囲の建物との位置関係まで確認することが重要です。
同じ広さでも間取りや部屋の位置で評価は変わります
もう一つ見落とされやすいのが、専有面積が同じでも「使いやすさ」が違うことです。
例えば同じ70㎡の3LDKでも、廊下が長く居室部分が小さく感じる間取りもあれば、廊下を短くしてリビングや各居室を広く取った間取りもあります。
収納の量も違います。
ウォークインクローゼットがある、各部屋に収納がある、玄関まわりに収納スペースがある。こうした違いは図面上の「70㎡」という数字だけでは分かりません。
また、マンションのどの位置にある部屋なのかも確認します。
エレベーターから近いのか、共用廊下を長く歩くのか。バルコニーの前に別の建物があるのか。道路や線路に面しているのか。同じマンションでも、部屋の位置によって音や人の視線、眺望は変わります。
私がご案内をしていて感じるのは、買主様はこうした部分を思っている以上によく見ているということです。
売主様にとっては長年住んできた「いつもの部屋」でも、初めて見る買主様は、玄関を入ってから各部屋を見て、バルコニーに出て、窓から外を見ます。そして他に見学したマンションと比較します。
同じマンションで同じ70㎡だから、同じ坪単価。
実際のマンション売却は、そこまで単純ではありません。
数字では同じように見える二つの部屋でも、実際に中へ入ってみると印象がかなり違うことがあります。
その違いを価格にどう反映させるのか。
ここが、マンション査定で実際に物件を見る意味だと思っています。
築年数が同じでも「室内の状態」は同じではありません

リフォーム履歴や設備の状態も査定では確認します
同じマンションであれば、当然、建物の築年数は同じです。
しかし、室内の状態まで同じということはほとんどありません。
新築時からほとんど手を入れていない部屋もあれば、10年ほど前にキッチンや浴室を交換している部屋、最近クロスや床まで含めて全面的にリフォームした部屋もあります。
査定では、こうしたリフォーム履歴も確認します。
特に築年数が経過したマンションでは、キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレなどの水回りがそのまま使える状態なのか、それとも購入後に交換が必要なのかは、買主様にとって大きな違いです。
例えば、同じマンションで同じような70㎡の部屋が2戸売りに出ているとします。
一方は3,000万円で室内は新築時のまま。もう一方は3,250万円ですが、水回りや内装がリフォーム済み。
価格差は250万円です。
買主様が「250万円高くても、リフォーム済みですぐ住める方がいい」と考えることもあれば、「自分の好きなキッチンや床にしたいから、安い方を買って自分でリフォームしたい」と考えることもあります。
中古マンションでは、どちらの考え方もあります。
そのため、単に「リフォーム済みだから高く査定する」というより、築年数や現在の室内状態、周辺の競合物件などを見ながら評価する必要があります。
また、リフォームしていなくても、丁寧に使われていて室内の状態が良い部屋は、実際の内覧では印象がかなり違います。
査定書の数字だけでは表しにくい部分ですが、売却するうえでは無視できません。
リフォーム費用をかけた分だけ高く売れるとは限りません
売却前のご相談で、
「少しリフォームしてから売った方が高く売れますか?」
と聞かれることがあります。
ここは慎重に考えた方がいいところです。
例えば300万円かけてリフォームしたからといって、売却価格が必ず300万円上がるわけではありません。
500万円かけたから500万円高く売れるわけでもありません。
もちろん、古くなった設備を交換したり、内装をきれいにしたりすることで、物件の印象が良くなり、売却しやすくなることはあります。
ただ、リフォームには好みがあります。
売主様が選んだキッチンの色や床材が、次に購入する方の好みと合うとは限りません。せっかく新品に交換しても、買主様が「自分なら違うものを選びたかった」と思うこともあります。
そのため私は、売却することが決まっているマンションについて、査定前から大きな費用をかけてリフォームする必要はないと考えています。
まず現在の状態でいくらくらいなのか。
そのまま売却した場合と、ある程度手を入れた場合で、価格や売りやすさがどう変わりそうなのか。
そこを見てから判断しても遅くありません。
場合によっては、設備をすべて交換するより、ハウスクリーニングや傷んだ部分の補修など、費用を抑えながら第一印象を良くする方が効果的なこともあります。
反対に、室内の傷みがかなり大きく、そのままでは買主様が生活後のイメージを持ちにくい物件であれば、ある程度リフォームしてから販売するという選択肢もあります。
大事なのは、リフォームすること自体を目的にしないことです。
いくらかけるのか。その費用をかけることで、売却価格だけでなく売りやすさがどのくらい変わるのか。
ここまで考えてから決める方が、結果として無駄な費用をかけずに済むと思います。
実は「部屋の中」だけを見て査定しているわけではありません

管理状態・修繕計画・管理費・修繕積立金も買主様は見ています
マンションの査定というと、室内を見て「きれいですね」「リフォームされていますね」と確認して終わるイメージがあるかもしれません。
実際には、部屋の中だけを見ているわけではありません。
マンションの場合、建物全体の管理状態も重要です。
エントランスや廊下がきれいに管理されているか、ゴミ置場や駐輪場は整理されているか。こうした共用部分は、買主様がマンションを見学したときにも目に入ります。
そして、もう一つ確認したいのが修繕の状況です。
マンションは築年数が経過すれば、外壁や屋上防水、給排水設備など、建物全体の修繕が必要になります。そのために毎月積み立てているのが修繕積立金です。
例えば、似たような価格・広さのマンションでも、
管理費・修繕積立金が月2万円の物件と、月4万円の物件。
買主様からすれば、住宅ローンとは別に毎月2万円の差が出ます。
年間なら24万円。10年間なら単純計算で240万円です。
もちろん、修繕積立金が安ければ良いという話でもありません。
現在の積立額で今後予定されている大規模修繕に対応できるのか、将来的な値上げが予定されていないか。すでに大規模修繕を実施したのか、これから予定されているのか。
こうした情報も、マンションを検討する買主様にとって判断材料になります。
最近はインターネットで物件を比較する段階から、販売価格だけでなく管理費や修繕積立金まで見ている方も少なくありません。
「部屋は気に入ったけれど、毎月の負担を考えると少し高い」
そう判断されることもあります。
そのためマンション査定では、専有部分の状態だけではなく、管理状況や長期修繕計画なども含めて見ていく必要があります。
駐車場や共用部分などマンション全体の条件も価格に影響します
静岡でマンションを売却する場合、私が特に確認しておきたいのが駐車場です。
駅に近く車を持たない方が多いマンションと、日常生活で車を使う方が多い地域のマンションでは、駐車場の重要性も違います。
敷地内駐車場に空きがあるのか。
売主様が現在使用している区画を、買主様がそのまま引き継げるのか。
機械式なのか平置きなのか。車高や車幅に制限があるのか。
「駐車場あり」と書いてあっても、実際の使い勝手はマンションによってかなり違います。
特に車が生活に欠かせない買主様にとって、敷地内駐車場が確保できるかどうかは、部屋を気に入る以前の条件になることもあります。
ほかにも、エレベーター、宅配ボックス、オートロック、各階のゴミ置場、ペット飼育の可否など、マンションごとに特徴があります。
築年数が同じでも、こうした設備や管理状況は同じではありません。
マンションを購入するということは、部屋だけを買うのではなく、その建物でこれから生活するということです。
ですから査定するときも、玄関の内側だけではなく、マンション全体を見ます。
室内がきれいかどうかはもちろん大切です。
ただ、それだけで売却価格が決まるわけではありません。
売却価格を左右する「今、同じマンションで何戸売りに出ているか」

買主様は同じマンションの売出物件を横並びで比較します
マンションを査定するとき、過去の成約事例と同じくらい私が気にするのが、現在売りに出ている物件です。
特に同じマンション内に売出中の部屋がある場合は、必ず確認します。
なぜなら、これから購入する買主様にとって、その部屋が直接の比較対象になるからです。
例えば、同じマンションで70㎡前後の3LDKが3戸売りに出ていたとします。
Aのお部屋 3,180万円
Bのお部屋 3,280万円
Cのお部屋 3,480万円
買主様は、単純に一番安いAのお部屋を選ぶとは限りません。
「100万円高いけれどBの方が高層階で眺望がいい」
「Cは300万円高いけれど、角部屋で水回りまでリフォームされている」
「自分でリフォームしたいから、一番安いAがいい」
このように、価格差と条件の違いを見ながら比較します。
売主様からすると、自分のお部屋には長年住んできた愛着がありますし、「この部屋は日当たりもいいし、きれいに使ってきた」という思いもあります。
一方、初めて見る買主様は違います。
同じマンションの別の部屋や近隣マンションも含めて、かなり冷静に比較します。
不動産会社の立場からすると、ここを無視して売出価格を考えることはできません。
過去の成約価格だけでなく「今の競合」を見ることが大切です
例えば半年前に、同じマンションの似た条件の部屋が3,500万円で成約していたとします。
当然、査定では重要な参考事例になります。
ただ、現在同じマンション内で、条件の近い部屋が3,280万円で売りに出ていたらどうでしょうか。
「半年前に3,500万円で売れたから、今回も3,500万円」
それだけでは少し足りません。
これから見学する買主様は、半年前に売れた部屋を買うことはできません。比較するのは、今買える物件だからです。
反対に、同じマンション内にも近隣にも競合する物件がほとんどなく、マンションを限定して探している方がいれば、売主様にとって販売しやすい状況になることもあります。
だから私は、査定をするときに、
「過去にいくらで売れたか」
と同時に、
「今日この部屋を売りに出したら、何と比較されるのか」
を考えます。
ただし、ここでも注意したいことがあります。
現在3,280万円で売りに出ている部屋があるからといって、それが3,280万円で売れるとは限りません。
売出価格は、まだ成約した価格ではないからです。
もしかすると販売を始めたばかりかもしれませんし、逆に半年以上売れずに残っているのかもしれません。途中で価格を下げている可能性もあります。
ですから競合物件を見るときも、価格だけではなく、いつから販売しているのか、これまで価格変更があったのか、階数や向き、室内状態はどうなのかまで確認します。
同じマンションの売出物件が多ければ、必ず安くしなければならないわけでもありません。
競合より高くても、
「この価格差なら、こちらの部屋を選びたい」
と買主様に思っていただける理由があれば、十分比較の対象になります。
逆に、条件がほとんど同じなのに価格だけが300万円高ければ、まず安い方から見てみようと考えるのは自然です。
マンションの売却価格は、過去の相場だけで決まるものではありません。
過去の成約事例で相場を確認し、現在の競合物件を見て、これから買う人の目線で価格を考える。
私は、この3つを分けて見ることが大切だと考えています。
高く売り出せば、高く売れるわけではありません

売出価格・査定価格・成約価格はそれぞれ違います
マンションを売却するなら、できるだけ高く売りたい。
これは当然だと思います。
査定価格が3,500万円だったとしても、
「まず3,680万円くらいから出してみたい」
というご希望があれば、私はそれ自体が間違いだとは思いません。
売却を急いでいないのであれば、少し高めの価格から市場の反応を見る方法もあります。
ただ、その場合でも「なぜ3,680万円なのか」は考えておいた方がいいと思います。
同じマンションの成約事例が3,500万円前後なのか。現在売りに出ている競合物件はいくらなのか。今回のお部屋には、角部屋、眺望、リフォーム済みなど、価格差を説明できる特徴があるのか。
こうした根拠があって3,680万円から始めるのと、
「少しでも高く売りたいから、とりあえず3,980万円」
では意味が違います。
ここで整理しておきたいのが、査定価格・売出価格・成約価格の違いです。
査定価格は、不動産会社が成約事例や現在の市場、物件の状態などから「このあたりであれば売却できる可能性がある」と考える価格。
売出価格は、実際に広告に掲載して買主様へ提示する価格。
そして成約価格は、最終的に売主様と買主様が合意して、実際に売買契約をした価格です。
この3つは同じとは限りません。
特に注意したいのは、不動産会社から高い査定価格を提示されたときです。
3社に査定を依頼して、
A社 3,400万円
B社 3,500万円
C社 3,900万円
だったら、3,900万円と言われた方がうれしいと思います。
ただ、大切なのは査定額の高さではなく、なぜ3,900万円なのかを説明できるかどうかです。
高い査定価格を付けることと、高く売ることは同じではありません。
私は査定価格そのものより、その価格になった根拠を確認していただく方が大切だと思っています。
売れない期間が長くなることで不利になることもあります
高めに売り出すときに、もう一つ考えておきたいのが販売期間です。
例えば、相場が3,500万円前後のマンションを3,980万円で売り出したとします。
販売を始めた直後は、新着物件として多くの方の目に触れます。
ところが、価格が合わず問い合わせや見学が少ないまま3か月、4か月と経過すると、インターネットで物件を探している方には何度も同じ物件が表示されることになります。
すると、
「ずっと出ているけれど、何か理由があるのかな」
「もう少し待てば値下げするのでは」
と見られることがあります。
本当は室内もきれいで、特に問題のないマンションでも、販売期間が長くなることで違った印象を持たれてしまうことがあります。
ここは、売主様にとって少しもったいないところです。
だからといって、最初から安く売り出した方がいいという話ではありません。
大切なのは、販売を始めた後の反応を見ることです。
インターネットの閲覧はあるのか。問い合わせは入っているのか。見学まで進んでいるのか。見学した方は価格をどう感じたのか。
例えば、閲覧数は多いのに問い合わせがほとんどないのであれば、価格を含め、最初の段階で比較から外されている可能性があります。
問い合わせはあるのに見学につながらない。
見学は何件もあるのに申込みが入らない。
同じ「売れていない」でも、原因はそれぞれ違います。
価格を下げるかどうかを考える前に、まずどこで止まっているのかを見る。
私は、マンションの売却ではこの確認がとても重要だと思っています。
高く売るために、最初から安くする必要はありません。
ただ、高く売りたいからこそ、市場の反応を見ながら価格を調整する。
売り出した後も何も変えずに待ち続けるのではなく、その時々の反応を見て次の手を考えることが、結果として納得できる売却につながると思います。
マンション査定で私が特に確認していること

同じマンションの成約事例は「条件の違い」まで見ます
ここまで、マンションの価格に影響するいろいろな条件についてお話ししてきました。
では、実際に査定するとき、私はどのように価格を考えているのか。
まず同じマンションに過去の成約事例があれば確認します。
ただ、成約価格だけを見て終わりではありません。
例えば「昨年、同じマンションで3,500万円の成約があった」としても、その数字だけでは査定できません。
何階だったのか。向きはどちらか。専有面積は何㎡か。角部屋か中住戸か。室内はリフォームされていたのか。そして、いつ売りに出して、どのくらいの期間で成約したのか。
分かる範囲で一つずつ確認していきます。
そして今回査定するお部屋と比べます。
「こちらの方が階数は低いけれど、室内の状態はいい」
「面積はほぼ同じだけれど、こちらは角部屋」
「過去の事例より条件はいいけれど、現在は同じマンションに競合物件が2戸ある」
こうして違いを整理していくと、単純に坪単価を掛けただけでは見えなかったものが見えてきます。
近い条件の成約事例がなければ、同じマンションの過去の事例だけにこだわらず、近隣の似たマンションも確認します。
築年数、駅や買物施設までの距離、専有面積、管理状態など、できるだけ条件の近いものを探します。
査定では、何か一つの数字から価格を決めると
最後は「今、この部屋を買う人ならどう見るか」を考えます
成約事例を調べ、現在の売出物件を確認し、実際のお部屋も見た。
そのうえで、最後に考えるのが買主様の目線です。
もし今日、このマンションを探しているお客様から相談を受けたら、この部屋をいくらなら紹介したいと思うか。
同じマンションに別の部屋が売りに出ていたら、どちらを先に案内するか。
近隣に同じ価格帯のマンションがあれば、この部屋を選ぶ理由はどこにあるのか。
私は売却の査定をするときでも、買主様をご案内するつもりで物件を見るようにしています。
売主様側からだけ見ていると、
「このマンションは人気がある」
「高層階だから高く売れる」
「きれいに使ってきたから評価してほしい」
という考えになりやすいものです。
もちろん、それらも査定材料です。
ただ、最終的にその価格で購入するかどうかを決めるのは買主様です。
例えば3,500万円と査定したマンションを3,680万円で売り出すこと自体はできます。
では、3,680万円で探している買主様に、
「なぜこの部屋が3,680万円なのか」
を説明できるか。
私はここをよく考えます。
眺望がいい。角部屋である。室内状態がいい。駐車場が確保できる。競合する物件が少ない。
価格差に理由があれば、少し高くても選ばれる可能性はあります。
逆に、比較される物件より価格が高いのに、その差を説明できるものがなければ、販売は簡単ではありません。
査定価格は、単に高ければいい数字でも、低ければ安心な数字でもありません。
売主様にとって納得できて、買主様から見ても説明できる価格なのか。
私は、その間にある価格を探すのが不動産会社の査定だと思っています。
もちろん、実際に売り出してみなければ分からないこともあります。
だから査定はゴールではありません。
査定で価格の根拠を整理し、売り出した後の反応を見ながら、必要であれば販売方法や価格を見直していく。
マンションをできるだけ良い条件で売却するためには、そこまで含めて考えることが大切だと思います。
まとめ

同じマンションだから同じ坪単価、ではありません
マンションの査定では、同じマンションの成約事例はとても重要な資料になります。
ただし、「同じマンションの70㎡が3,500万円で売れたから、うちも3,500万円」と単純に決められるものではありません。
階数、向き、眺望、角部屋か中住戸か、間取り、室内状態、リフォーム履歴。同じ建物の中でも、それぞれの部屋には違いがあります。
さらに、管理費や修繕積立金、駐車場、建物全体の管理状態など、部屋の外にも確認することがあります。
そして忘れてはいけないのが、売却する時点の市場です。
半年前に3,500万円で売れたとしても、現在同じマンションに3,200万円台の競合物件が2戸出ていれば、買主様は当然そちらとも比較します。
反対に、売り物件がほとんどなく、そのマンションを限定して探している方がいれば、販売しやすい状況になることもあります。
過去の成約価格は大切です。
でも、それだけで今の価格が決まるわけではありません。
自分の部屋の条件を一つずつ見て価格を考えることが大切です
マンションの売却を考え始めると、インターネットで同じマンションの売出価格を調べる方も多いと思います。
それは最初の目安として、とても参考になります。
ただ、3,800万円で掲載されているから「自分の部屋も3,800万円」とは限りません。その部屋が実際にいくらで売れるのかは、まだ分からないからです。
反対に、過去の成約事例よりご自分の部屋の条件が良ければ、それ以上の価格で売却できる可能性もあります。
大切なのは、一つの数字だけで判断しないことです。
過去にいくらで売れたのか。
現在いくらで売りに出ているのか。
そして、ご自分の部屋にはどんな特徴があるのか。
この3つを一緒に見ることで、現在の売却価格が少しずつ見えてきます。
私はマンションを査定するとき、売主様側からだけではなく、「この価格なら買主様にどう説明するか」ということも考えます。
売主様にとっては、長く住んできた大切なお部屋です。
だからこそ、最初から安く売る必要はありません。
一方で、根拠なく高い価格を付けて、長い間売れずに残ってしまうのも避けたいところです。
売主様にとって納得できて、買主様から見ても理由のある価格を探す。
それが、マンション査定では一番大切なのではないかと思います。
「今すぐ売るわけではないけれど、今ならどのくらいなのか知りたい」
もちろん、それでも構いません。
査定をしたからといって、売却しなければならないわけではありません。
まず現在の価格を知って、そのうえで売るのか、もう少し住み続けるのか、時期を待つのかを考えていただければと思います。
マンション売却・査定についてよくある質問
Q1.同じマンションの売出価格を見れば、自分の部屋の価格も分かりますか?
ある程度の参考にはなりますが、それだけでは判断できません。
インターネットに掲載されている価格は、基本的には現在の「売出価格」です。実際にその価格で売買契約になった「成約価格」とは違います。
同じマンションの売出物件を確認するときは、価格だけでなく、階数、向き、専有面積、室内状態、リフォームの有無なども比較する必要があります。
Q2.マンションは高層階ほど高く売れますか?
一般的には高層階が評価されやすい傾向はありますが、必ずしも「高ければ高いほど売却価格も高い」とは限りません。
例えば、ある階から眺望が大きく開けるマンションもあります。反対に、高層階でも向きや周囲の建物によっては、期待するほど眺望に差がないこともあります。
階数だけでなく、実際の日当たりや眺望なども含めて考えます。
Q3.角部屋なら中住戸より高く査定されますか?
角部屋は窓が多い、隣接する住戸が少ないなどの理由から評価されることがあります。
ただし、角部屋というだけで一律にいくら高くなる、というものではありません。
向き、間取り、眺望、室内状態など、ほかの条件と合わせて査定します。
Q4.売却する前にリフォームした方がいいですか?
必ずしも必要ではありません。
リフォームによって印象が良くなり、売却しやすくなる場合はありますが、かけた費用と同じだけ売却価格が上がるとは限りません。
買主様の中には「安く購入して、自分の好みにリフォームしたい」という方もいます。
大きな費用をかける前に、まず現在の状態で査定を受けてから検討することをおすすめします。
Q5.室内がかなり古くても、そのまま売却できますか?
売却できます。
築年数が経過したマンションでは、購入後に全面リフォームすることを前提に探している買主様もいます。
設備が古いからといって、必ず交換してから売らなければならないわけではありません。現在の状態、価格帯、想定する買主様などを見ながら販売方法を考えます。
Q6.同じマンションに売出中の部屋があると売却には不利ですか?
必ずしも不利とは限りません。
同じマンション内に売出物件があれば比較されやすくなりますが、ご自分の部屋の方が階数、向き、室内状態などで優れていれば、それが選ばれる理由になります。
重要なのは、競合する部屋との価格差に納得できる理由があるかどうかです。
Q7.管理費や修繕積立金が高いと売却価格に影響しますか?
買主様がマンションを比較するときの判断材料の一つになります。
住宅ローン以外に毎月必要になる費用だからです。
ただし、修繕積立金は安ければ良いというものでもありません。長期修繕計画や積立状況、大規模修繕の実施状況など、マンション全体の管理状態と合わせて確認することが大切です。
Q8.住宅ローンが残っていてもマンションを売却できますか?
売却できます。
ただし、原則として売却時には住宅ローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する必要があります。
まずは現在のローン残高とマンションの査定価格を確認し、売却代金でローンを完済できるかを確認しておくと、その後の計画を立てやすくなります。
Q9.住みながらでもマンションの査定や売却はできますか?
できます。
実際に居住しながら売却活動を行うケースも珍しくありません。
査定の際も、すべて片付けていただく必要はありません。現在の室内状態を確認できれば査定は可能です。
売却を開始した後の内覧については、売主様のご都合と調整しながら進めていきます。
Q10.まだ売るか決めていなくても査定をお願いできますか?
もちろん可能です。
「今売ったらいくらくらいなのか知りたい」「数年後に住み替えを考えている」「住宅ローンの残高と比較したい」といった段階でも問題ありません。
マンションの価格を知ったからといって、すぐに売却する必要はありません。
現在の価値を把握しておくことで、売却するのか、住み続けるのか、住み替えるのかを考える材料になります。

