不動産基礎知識
2026年08月20日

お盆に実家の話をした。でも結論が出なかった方へ。

お盆休みが終わりました。

久しぶりに家族が集まって、実家のことが話題になったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「この家、この先どうする?」

何気ない一言から話が始まったものの、

「まだ売らなくてもいいんじゃないか」
「誰も住まないなら売った方がいい」
「でも、親が元気なうちはこのままでいい」

兄弟でも考え方が違う。親御さんにも思いがある。

結局、何も決まらないままお盆休みが終わってしまった。

でも、私はそれでいいと思っています。

実家は、家族にとって単なる不動産ではありません。

生まれ育った家だったり、親御さんが何十年も暮らしてきた家だったりします。

一度の話し合いで「では売りましょう」と簡単に決められるものではありません。

むしろ大切なのは、その先です。

次に家族で話すときも、「どうする?」「まだいいんじゃない?」を繰り返すのではなく、それまでに少しだけ判断材料を揃えておく。

今の実家はいくらくらいなのか。
売るならどんな方法があるのか。
売らずに残した場合、これからどんな管理が必要になるのか。

こうしたことが分かるだけでも、次の話し合いはずいぶん具体的になります。

今回は、お盆に実家のことを話したけれど結論が出なかった方に、不動産会社として「次に何をしておけばいいのか」をお話ししたいと思います。

お盆に話したけれど、結局何も決まらなかった

家族それぞれ考えが違うのは当たり前です

お盆に家族が集まれば、実家の話がすんなりまとまる。実際は、そんなに簡単ではありません。

「売る」「残す」という二択だけなら話は早いのですが、実家には家族それぞれの気持ちがあります。そこへ相続やお金、これからの暮らしまで絡んでくれば、その場で答えが出ないのはむしろ自然なことだと思います。

例えば、県外で暮らしている長男は、「誰も住まないなら、早めに売った方がいいんじゃないか。」そう考えている。

一方、実家の近くに住んでいる弟は、「急いで売らなくてもいいだろう。」と考えている。

そして親御さんは、「自分が元気なうちは、この家を残しておきたい。」と思っているかもしれません。

誰かが間違っているわけではありません。立場が違えば、実家に対する考え方も違います。

私も相続不動産や実家の売却相談をお受けしていると、ご家族の意見が最初からきれいに揃っているケースばかりではありません。

だから私は、最初から「売るか、売らないか」を決めようとしなくてもいいと思っています。まず、それぞれがどう考えているのかを知る。そこからで十分です。

結論が出なかったことにも意味があります

「せっかく家族が集まったのに、何も決まらなかった。」そう思う必要もありません。

それまで誰も口にしなかった実家のこれからについて、一度でも話ができた。私は、それだけでも一歩進んでいると思います。

そして、話してみたからこそ、「兄は売却を考えていたんだ。」「親はまだ手放したくないんだな。」「妹は管理のことを心配していたんだ。」と、それぞれの考えが初めて分かったかもしれません。

ここが大事です。

次にすることは、無理に結論を出すことではありません。家族が判断するために足りなかったものを、一つずつ揃えていくことです。

「いくらで売れるのか分からない」のであれば、価格を調べてみる。「売った方がいいのか分からない」のであれば、売却した場合と残した場合を比べてみる。「仲介と買取の違いが分からない」のであれば、それぞれのメリット・デメリットを聞いてみる。

話し合いが進まなかった理由が分かれば、次にやることも少しずつ見えてきます。

お盆に答えが出なかったことよりも、そのまま次のお盆まで何もしないことの方が、私はもったいないと思います。

次の家族会議をする前に、調べておきたいことがあります

まず「今の実家はいくらくらいなのか」を知る

実家をどうするか決められなかったとき、すぐにもう一度家族で話し合う必要はないと思います。同じ材料のまま話しても、おそらく同じところで止まってしまうからです。

それよりも、次に集まるまでに分からなかったことを少し調べておく。それだけで話はずいぶん変わります。

特に知っておきたいのが、「今の実家の価値」と「このまま持ち続けた場合」のことです。

売るためではありません。売るか、残すかを家族で考えるために、まず現在地を知っておくということです。

実家の話になると、「この辺なら3,000万円くらいじゃない?」「いや、建物が古いからそんなにしないよ。」といった話になることがあります。でも、これではなかなか先へ進みません。

不動産の価格は、土地の広さや築年数だけで決まるものではないからです。接している道路、土地の形、周辺の取引状況、建物の状態、そしてその地域でどんな不動産が求められているのか。実際に見てみないと分からないことがたくさんあります。

また、インターネットで近所の売物件を調べることはできますが、掲載されているのは基本的に「売り出している価格」です。実際にいくらで成約したのかとは別の話です。

だからこそ、実家について具体的に考え始めたのであれば、一度査定をして現在の価格を知っておくことは意味があると思います。

ここで誤解していただきたくないのは、査定をしたからといって、売らなければならないわけではないということです。

「今ならこのくらいの価格が考えられる。」それが一つ分かるだけでも十分です。

次に家族で話すとき、「いくらだと思う?」という話から、「このくらいの価格ならどうする?」という話に変わります。この違いは大きいと思います。

売った場合と持ち続けた場合を比べてみる

もう一つ考えておきたいのが、実家を残すという選択です。

売らないこと自体は、もちろん一つの選択肢です。ただ、「今は売らない」と決めるのであれば、その後のことも一緒に考えておいた方がいいでしょう。

固定資産税はこれからもかかります。誰も住まなくなれば、庭の手入れや建物の換気、通水、郵便物の確認なども必要になります。火災保険や修繕が必要になることもあるでしょう。

そして意外と後から問題になるのが、「誰が実家を見に行くのか」ということです。

最初は「近くに住んでいるから自分が見るよ」と言っていても、それが何年も続けば負担になることがあります。

だから私は、売る場合の金額だけではなく、残した場合に何が必要になるのかも一緒に考えてほしいと思っています。

売却した場合。そのまま保有した場合。しばらく空き家として管理した場合。

それぞれを並べてみると、「今すぐ売る」「絶対に残す」だけではなかった選択肢が見えてくることがあります。

実家のこれからを考えるとき、大切なのは早く答えを出すことではありません。家族みんなが納得できる答えを出すために、まず比べられる材料を持つことだと思います。

「売る」と決めていなくても、仲介と買取の違いは知っておく

手残りを重視するなら仲介という選択

実家を売却することになった場合、方法は一つではありません。一般的なのは、不動産会社が買主様を探す「仲介」です。もう一つ、不動産会社が直接購入する「買取」という方法もあります。

この二つは、売却までの進め方も、価格の考え方も違います。

「まだ売ると決めていないのに、そこまで考える必要があるの?」と思われるかもしれません。でも、私は決める前だからこそ知っておいてほしいと思っています。

家族の中でも、「できるだけ高く売りたい」という方もいれば、「多少価格が下がっても早く整理したい」という方もいるからです。どちらが正解ということではありません。何を優先するのかによって、選ぶ方法が変わります。

仲介は、不動産会社が広告などを行い、一般の購入希望者を探して売却する方法です。市場で広く買主様を探すため、買取と比べると高い価格での売却を目指しやすいのが特徴です。

ただし、売り出したからといって、すぐに買主様が見つかるとは限りません。内覧への対応が必要になることもありますし、売却まで数か月かかることもあります。また、売り出した価格のまま決まらなければ、途中で価格を見直すこともあります。

それでも、「急いで処分する必要はない。」「時間がかかっても、できるだけ手元に残る金額を重視したい。」というご家族であれば、まず仲介での売却を考えるのが自然だと思います。

大切なのは、最初から「いくらで売れる」と決めつけないことです。査定価格だけを見るのではなく、どのくらいの価格から売り出すのか、どのくらいの期間を想定するのか、反響がなければいつ価格を見直すのか。そこまで考えて、初めて売却の計画になります。

スピードや確実性を重視するなら買取という選択

一方、不動産会社が直接購入するのが買取です。一般の買主様を探す必要がないため、条件がまとまれば比較的早く売却を進めることができます。

「相続した実家を長く空き家にしておきたくない。」「遠方に住んでいるので、何度も静岡へ来るのが難しい。」「家財が残っていて、一般のお客様に見せられる状態ではない。」こうした場合には、買取が合うこともあります。

ただし、一般的には仲介で市場に出して売却する場合より、買取価格は低くなります。不動産会社は購入後にリフォームや解体などを行い、再販売するための費用やリスクを負うからです。

だからこそ、単純に「仲介の方が得」「買取は損」と考えるのではなく、金額を優先するのか。時間や手間を優先するのか。ここを家族で考えてみることが大切です。

株式会社エステージでは、仲介と買取のどちらか一方を先におすすめするのではなく、まず両方の可能性をお話しするようにしています。

例えば、「仲介なら、このくらいの価格帯を目指して販売してみる。」「買取なら、このくらいの条件になる。」そこまで分かれば、ご家族で比較できます。

まだ売ると決めていなくても構いません。選択肢を知っておくことと、売却を決断することは別です。

実家をどうするのか迷っている段階だからこそ、仲介と買取の両方を知ったうえで、ご家族に合った方法を考えていただきたいと思います。

実家を残すなら「誰が管理するのか」まで考える

空き家は持っているだけでは済みません

家族で話した結果、「今すぐ売らなくてもいい」という結論になることもあります。私は、それも一つの選択だと思います。

親御さんの気持ちもありますし、思い出のある実家を手放すことに迷いがあるのも当然です。

ただ、誰も住まなくなった家を残すのであれば、もう一つ決めておきたいことがあります。それが、「これから誰が、この家を見ていくのか。」ということです。

売るか残すかについては話したけれど、管理する人までは決めていなかった。実際には、ここが後になって問題になることがあります。

人が住んでいなくても、家はそのままの状態を保ってくれるわけではありません。郵便物はたまりますし、庭の草や植木も伸びます。長期間窓を閉めたままなら換気も気になりますし、水道を使わなければ定期的な通水もしておきたいところです。

台風のあとなら、屋根や雨どい、外回りに異常がないか確認した方が安心です。特に静岡では、夏場の雑草や台風の時期など、季節によって気にしておきたいことも変わります。

一つひとつは、それほど大変なことではないかもしれません。ただ、それを毎月、何年も続けるとなれば話は別です。

ご兄弟のうち一人だけが近くに住んでいると、「近いからお願いね。」となりがちですが、その方だけに負担が偏ってしまうこともあります。

実家を残すのであれば、誰が所有するのかだけでなく、誰が管理するのか、費用はどうするのかまで家族で話しておく。これは意外と大切なことだと思います。

すぐに売らないなら空き家管理という方法もあります

「残したいけれど、自分たちではなかなか見に行けない。」そんな場合は、空き家管理を利用する方法もあります。

定期的に現地を確認して、郵便物や建物の外回りを確認したり、換気や通水をしたりする。何か変わったことがあれば、写真などで状況を確認できるようにしておけば、遠方に住んでいても安心材料になります。

もちろん、すべての空き家に管理サービスが必要だとは思いません。ご家族が近くに住んでいて定期的に見に行けるのであれば、それで十分な場合もあります。

大切なのは、「とりあえず、そのままにしておく」にしないことです。

半年後に売るかもしれない。数年は残すかもしれない。将来、家族の誰かが使うかもしれない。今の段階では決められなくても構いません。

ただ、その答えが出るまでの間も、家はそこにあります。

株式会社エステージでも、売却や買取だけでなく、すぐには売らない不動産の管理についてご相談をお受けしています。

「売るかどうかは、まだ決められない。」そんな段階でも、その間どうやって実家を守っていくのか。そこまで含めて考えておくと、焦って結論を出さなくても済むのではないでしょうか。

家族だけで答えを出そうとしなくてもいい

不動産会社への相談=売却ではありません

実家のことは家族の問題だから、まず家族だけで決めてから不動産会社へ相談しよう。そう考える方も多いと思います。

でも、私は逆でもいいと思っています。

分からないことがあるから話が進まないのであれば、その部分だけ先に専門家へ聞いてみる。売却するかどうかは、それから決めればいいのです。

実際の価格も分からない。仲介と買取の違いもよく分からない。空き家のまま残した場合に何が必要なのかも分からない。その状態で家族だけで答えを出そうとしても、なかなか難しいものです。

「査定をお願いしたら、そのまま売却を勧められそう。」「まだ売ると決めていないのに相談してもいいのかな。」そんな心配をされる方もいらっしゃいます。

もちろん、相談したからといって売却する必要はありません。私はむしろ、迷っている段階で相談していただいた方がいいと思っています。

お話を聞いた結果、「今は売らない方がいいですね。」となることもあります。

しばらくそのまま所有する。空き家として管理する。家族でもう少し時間をかけて考える。それも選択肢です。

不動産会社の仕事は、何でも売却につなげることではないと私は思っています。その不動産をどうするのが、そのご家族にとって一番いいのか。そこを一緒に考えるところから始まってもいいのではないでしょうか。

数字が分かると家族の話し合いは具体的になります

家族の話し合いで意見がまとまらない原因は、気持ちの違いだけとは限りません。判断するための数字が分からないことも大きいと思います。

例えば、「仲介なら3,000万円前後を目指せそう。」「買取なら2,000万円台になる。」「このまま持っていれば、固定資産税や管理の費用がかかる。」

※これはあくまで説明のための例ですが、こうして具体的な数字が出てくると話し合う内容が変わります。

「売る、売らない」という感覚的な話だけではなく、「この条件ならどうする?」という話ができるようになるからです。

もちろん、最後に決めるのはご家族です。不動産会社が答えを決めるものではありません。

私たちができるのは、その判断に必要な材料をできるだけ分かりやすく揃えることだと思っています。

お盆に実家の話をして、結論が出なかった。それなら、次に家族が集まるまでに一つだけでも「分からない」を減らしてみてください。

次の話し合いは、きっと今回とは違ったものになると思います。

まとめ

お盆に結論が出なかった。それでいいと思います

お盆に久しぶりに家族が集まって、実家のこれからについて話をした。でも、結論は出なかった。

私は、それでいいと思います。

実家には、家族それぞれの思いがあります。「売った方がいい」という人もいれば、「まだ残しておきたい」という人もいる。親御さん自身が、手放すことを考えられない場合もあるでしょう。

大切なのは、一度の話し合いですべてを決めることではありません。これまで何となく避けていた実家のこれからについて、家族で話ができた。まずは、そこからです。

ただし、せっかく話題に出たのであれば、そのまま忘れてしまうのは少しもったいないと思います。

次に家族が集まったとき、また同じところから話を始めるのではなく、その間にできることがあります。

次に集まるときまでに「判断材料」を揃えておきませんか

まずは、実家が今どのくらいの価格なのかを知ってみる。仲介で売却した場合と、買取の場合を比べてみる。売らずに残すのであれば、これから誰が管理するのかを考えてみる。

全部やる必要はありません。一つ分かるだけでも、次の話し合いは変わります。

そして、調べた結果、「やっぱり今は売らない。」という結論になってもいいと思います。反対に、「この条件なら売却を進めよう。」となるかもしれません。

どちらになっても、家族で納得して決めたのであれば、それが一番ではないでしょうか。

株式会社エステージでは、不動産の仲介、買取、空き家管理まで、ご事情に合わせてご相談をお受けしています。

売却することが決まっていなくても構いません。「実家をどうするか、家族で話したけれど決まらなかった。」そんなところからでも大丈夫です。

まず今の状況を整理して、どんな選択肢があるのかを一緒に考える。そのうえで、売るのか、残すのかを決めていただければいいと思っています。

お盆に答えが出なかった実家のこと。次のお盆までそのままにするのではなく、まず一つだけ、分からないことを調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。