不動産基礎知識
2026年02月05日

利益が出ていないのに税金?減価償却の落とし穴とは

「買った時より安く売ったのに、どうして税金がかかるんですか?」

静岡でマンションや戸建ての売却相談を受けていると、この質問は本当に多いです。価格を聞いたときは納得していたのに、いざ税金の話になると空気が変わる。ご本人としては“損をしている感覚”なのに、「譲渡所得が出ています」と言われると、正直納得できないのも無理はありません。

特に多いのが、長年住んだマンションや、離婚後に売却する物件、そして相続した不動産です。「2750万円で買って、2250万円で売ったんです。500万円も下がっているのに、なぜ税金が出るんですか?」というような具体的な相談もあります。体感では完全に赤字です。

ここで出てくるのが“減価償却”という考え方です。ただ、この言葉を初めて聞く方も少なくありません。しかも問題なのは、減価償却は自分が何か申告していなくても、税法上は自動的に進んでいるという点です。つまり、知らないうちに取得費が目減りしていることになります。

売却価格だけを見て「利益が出ていない」と判断してしまうと、税金計算の前提を見誤ります。そして売却後、確定申告のタイミングで初めて税額を知る。これが一番もったいない流れです。

なぜ“損をしている感覚”なのに税金が出るのか。その仕組みを知らずに売ると、後から納得できないまま税金を払うことになります。今回は、不動産売却の現場で実際に起きているケースをもとに、減価償却がどのように影響するのかを整理していきます。

「買った時より安く売ったのに税金?」という相談が多い理由

「2750万円で買って、2250万円で売ったのに税金が出るって言われました。」

これは実際によくある相談です。ご本人の感覚では明らかに“損”。でも税金の計算は、売却価格と購入価格をそのまま比べる仕組みではありません。

売却価格だけで判断してしまう誤解

多くの方が「売却益=売却価格−購入価格」だと思っています。しかし実際の税金計算では、建物は毎年“減価償却”されていきます。つまり、買った時の価格はそのまま残っていないという考え方です。

例えば、1000万円の建物を長年所有していた場合、税法上は価値が目減りしたものとして計算されます。売却時には、その“目減り後の価格”と比較するため、感覚とは違う結果になります。

ここを知らずに売ると、「利益が出ていないのに税金」という現象が起きます。

税務署の説明をそのまま受け取ってしまう危険性

税務署の説明が間違っているわけではありません。ただし、前提条件が違えば答えも変わります。

実際の相談では、

  • 居住用3000万円控除が使えるかどうか

  • 住民票を移してから何年経っているか

  • 賃貸に出していた期間はあるか

これだけで税額は大きく変わります。

「税務署でこう言われました」と相談に来られる方も多いですが、個別事情を整理しないまま判断すると、必要以上に不安になるケースもあります。

売却価格よりも大事なのは、取得費と減価償却の整理です。売る前に数字を確認しておくかどうかで、結果はまったく変わります。

減価償却とは何か?基本の考え方

減価償却という言葉を、売却のタイミングで初めて聞く方は多いです。
不動産売却の税金では、建物は年数とともに価値が下がるものとして計算されます。

ここが一番のポイントです。

「買った時の価格」がそのまま残っているわけではありません。
税法上は、毎年少しずつ価値が減ったことになっています。

建物は年数とともに“価値が減る”という前提

例えば、3000万円で購入したマンションでも、建物部分は毎年減価償却されています。
10年、15年と経てば、税法上の価値は当初よりかなり低くなります。

売却時には、その“目減り後の価格”と売却価格を比較するため、感覚とは違う計算結果になります。

ここを知らないと、

「買った時より安いのに税金?」

という現象が起きます。

実際に現金を受け取っていなくても調整される仕組み

減価償却のやっかいな点は、実際に現金を受け取っていなくても計算上は反映されることです。

自分では何もしていなくても、税法上は毎年“価値が減った”ことになります。

そして売却時には、その分だけ取得費が小さくなるため、帳簿上の利益が発生することがあります。

体感では損でも、税金計算では利益。
このズレが、売却後に驚く原因です。

なぜ利益が出ていないのに税金が発生するのか

「買った時より安く売ったのに、なぜ税金が出るんですか?」

これは本当に多い相談です。
理由はシンプルで、税金の計算は“体感”ではなく“税法上の取得費”で行われるからです。

不動産の場合、建物は毎年減価償却されています。つまり、買った時の価格はそのまま残っていません。

売却時には、

売却価格 -(取得費 − 減価償却累計)

で計算されます。

ここを知らないと、「損をしたのに税金」という現象が起きます。

取得費から差し引かれる減価償却費

例えば、3000万円で購入したマンションでも、建物部分は毎年減価償却されています。10年、15年と経てば、税法上の価値はかなり下がっています。

売却時には、その“目減り後の取得費”と売却価格を比較するため、体感とは違う結果になります。

✔ 体感 → 赤字
✔ 税法上 → 黒字

このズレが税金発生の原因です。

「帳簿上の利益」と「体感の利益」の違い

売却で手元に残るお金と、税金計算上の利益は別物です。

多くの方が、

「売却価格 − 購入価格」

で考えます。

しかし実際は、

「売却価格 −(取得費 − 減価償却)」

で計算されます。

この差を理解していないと、確定申告時に驚くことになります。

マンション売却で特に注意すべきポイント

「利益が出ていないのに税金?」という疑問を持つ人も多い減価償却。マンション売却時には特に注意が必要です。

売却時に課される税金や控除の有無は、個人の状況によって異なります。そのため、自分のケースをよく理解しておくことが大切です。

以下で紹介する減価償却における注意点は、例えば居住用3000万円控除のような税制上の恩恵が受けられるかどうかに関わってきます。

詳細な事例を知り、適切に対応することで、税金の落とし穴を回避しましょう。

居住用3000万円控除が使えるケース・使えないケース

マンション売却時の最大の魅力の一つは、居住用3000万円控除です。これは売却益から3000万円までは非課税にすることができる控除です。

しかし、この控除が適用されるには厳しい条件があります。例えば、売却するマンションが主体的に居住していたものかどうかが、まず重視されます。 売却の直前に居住していたか否かもポイント。短期間の帰宅や仮住まいでの居住が認められることは少ないです。

また、所有期間が重要です。最低でも5年以上の居住が必要とされることが多いのです。 仮に親族間や特別な事情で譲渡した場合も、控除が適用されないことがあります。

これらの条件をしっかり確認しないといけない理由は、適用条件を満たしていないと期待以上の税金がかかってしまうからです。 事前に条件を確認し、漏れのないよう適切に対処しましょう。

離婚・住民票移動・賃貸転用が与える影響

家族の事情や生活の変化は、マンション売却時の税金に大きな影響を与えます。特に注意すべきは離婚、住民票移動、賃貸転用です。

離婚の場合、財産分与として売却することが多いため、控除が使えるか一度確認する必要があります。 住民票を移動すると控除を受けられないといった弊害もありますが、この場合は例外もあります。たとえば、一時的な転勤での住民票移動は、状況によっては控除が適用されることがあります。

賃貸転用は、元の居住目的から変わったため、控除が受けにくくなる典型例です。たとえば、居住用マンションを貸し出して収益を上げると、税制の恩恵を受ける要件が変更されることがあります。

これらの生活の変化が、財産や税金に与える影響を正確に把握することが肝心です。売却を控えている場合は、税務署や専門家に相談するのが賢明です。 したがって、生活の変化がどのように売却税制に影響を及ぼすかを十分理解しておくべきです。

相続不動産の場合はどうなるのか

「利益が出ていないのに税金?」と不安に思う方も多いことでしょう。特に、相続で取得した不動産の減価償却についての疑問です。

相続不動産の減価償却は、一見すると複雑ですが、適切な理解と対策で多くの落とし穴を回避できます。特に、取得費の考え方が重要です。

これから、それぞれの視点からポイントを詳しく解説していきます。相続不動産の減価償却の落とし穴について具体的に見ていきましょう。

相続取得時の取得費の考え方

相続不動産を取得した際、取得費の考え方が基本となります。これは、後々の税金計算にも影響を及ぼし、誤ると余計な税負担につながるからです。

一般に、相続取得の取得費は、被相続人が元来購入した際の購入費を引き継ぎます。被相続人が不動産を購入した際の購入金額、仲介手数料などが主な要素です。 これを基に、減価償却費を計算し、各年の課税所得に影響します。

例えば、被相続人が10年前に1,000万円で購入した不動産を相続した場合、その1,000万円が取得費となります。 この金額を基に減価償却を実施しますが、減価償却の経過年数についても注意が必要です。

このように、相続取得の取得費は、減価償却において非常に重要な要素です。過小または過大に見積もると、最終的には節税効果や税負担に影響を及ぼすことになります。

取得費が分からない場合の対応

不動産の取得費が不明瞭で、取得費を正確に把握できないケースもあります。このような場合の対応についても理解しておくことが重要です。

税法上、取得費が不明な場合は、譲渡価格の5%を取得費とみなすことが認められています。ただし、これは最終手段であり、できれば具体的な取得費を明らかにすることが望ましいです。

例えば、20年前に相続し現在の価値がわからない不動産を譲渡する場合、5%ルールを使用すると譲渡価格の5%が取得費となります。 その結果、減価償却の計算基礎が大幅に異なり、不利になることがあります。

したがって、可能であれば過去の書類を確認し、被相続人が購入時に関する詳細を追跡することが重要です。それが困難な場合は、専門家に確認を求めるのも一つの方法です。

“利益が出ていないのに税金?”との心配を避けるためにも、取得費の明確化は欠かせません。

よくある勘違いと実際のリスク

「買った時より安いんだから税金は出ませんよね?」

これは本当に多い勘違いです。
売却価格だけを見て判断すると、ほぼ確実にズレます。

不動産売却の税金は、
“いくらで売れたか”よりも
“取得費がいくらと計算されるか”で決まります。

ここに減価償却が入るため、感覚と計算がズレます。

「利益がない=税金ゼロ」ではない理由

例えば、3000万円で購入したマンションを2500万円で売ったとします。

体感では500万円の損です。

しかし、建物部分が長年減価償却されている場合、税法上の取得費はもっと低くなっています。

結果として、

帳簿上は利益
体感では損

という現象が起きます。

ここを知らずに売ると、確定申告時に初めて税額を知ることになります。

確定申告を甘く見た場合のペナルティ

「利益が出ていないと思っていたから、特に確認していない」

これもよくあるケースです。

売却後に税額を知り、
想定外の納税に慌てる。

さらに、申告漏れや計算ミスがあると、延滞税や加算税が発生することもあります。

現場では、

✔ 取得費が分からない
✔ 3000万円控除が使えない
✔ 減価償却を計算していなかった

この3つがトラブルの原因になっています。

静岡で不動産売却前に確認しておくべきこと

静岡で不動産売却の相談を受けていると、よくあるのが「売れてから税金を知る」ケースです。価格や査定額ばかりに目が行き、税金の話は後回しになりがちです。しかし、手元に残る金額を決めるのは売却価格ではなく“税引き後の金額”です。

売却前に確認すべきなのは、相場だけではありません。取得費はいくらになるのか、減価償却はどのくらい進んでいるのか、3000万円控除は使えるのか。この整理をしないまま価格を決めると、後で計算が合わなくなります。

売却前に税金の試算をしておく重要性

不動産売却で一番もったいないのは、「売れた後に税額を知る」ことです。

例えば、売却代金がそのまま手元に残ると思って資金計画を立ててしまうと、確定申告時に慌てることになります。特にマンション売却や相続不動産は、減価償却や取得費の扱いで税額が大きく変わります。

静岡のように売却価格がそこまで高騰しないエリアでも、条件次第では税金が出るケースは珍しくありません。売却前に一度試算しておくだけで、「売るべきか」「待つべきか」の判断が変わることもあります。

事前に税金の試算をすることで、資金計画をしっかり立てることができます。税金問題で後悔することがないよう、早めのアクションを心掛けましょう。

税理士と不動産会社の役割の違い

税理士は“税額を正しく出す専門家”です。一方、不動産会社は“いくらで売れるかを読む専門家”です。

ここを混同すると、「税理士に聞けば売却価格も分かる」「不動産会社が税金まで全部決めてくれる」という誤解が生まれます。

実際の現場では、

✔ 売却価格の想定
✔ 税額の試算
✔ 手残りの確認

この3つをセットで考えます。

どちらか一方だけでは不十分です。
不動産売却は、“価格”と“税金”の両方を見て初めて全体像が見えます。

よくある質問FAQ 

Q1. 買った時より安く売ったのに本当に税金はかかるのですか?

A. かかるケースがあります。建物は減価償却されるため、取得費が思ったより低く計算されるからです。

Q2. 減価償却は自分が経費にしていなくても関係ありますか?

A. はい。実際に申告していなくても、税法上は償却されたものとして計算されます。

Q3. マンション売却で減価償却はどう影響しますか?

A. 建物部分のみが対象になります。土地は減価償却されません。

Q4. 居住用3000万円控除があれば問題ないのでは?

A. 条件を満たせば税金は抑えられますが、住民票移動や賃貸転用で使えないケースもあります。

Q5. 相続不動産にも減価償却は関係しますか?

A. はい。被相続人の取得費を引き継ぐため、古い建物ほど影響が大きくなります。

Q6. 取得費が分からない場合はどうなりますか?

A. 売却価格の5%を概算取得費とする計算になりますが、税額が高くなることがあります。

Q7. 離婚後のマンション売却でも減価償却は影響しますか?

A. はい。特に居住用特例の可否と絡むため注意が必要です。

Q8. 税務署に聞いたのですが、それで安心していいですか?

A. 個別事情を踏まえた確認が必要です。前提条件が違うと税額も変わります。

Q9. 売却前にやっておくべきことは?

A. 取得費と想定税額の試算です。価格を決める前に行うべきです。

Q10. 一番多い失敗は何ですか?

A. 売却してから税金を知ることです。事前確認で防げるケースがほとんどです。

まとめ:売却価格よりも「取得費」がすべてを決める

不動産売却で一番大きな勘違いは、「買った価格より安く売った=税金は出ない」という思い込みです。静岡で売却相談を受けていると、この前提で話が進んでいるケースが本当に多い。しかし税金の計算は、売却価格ではなく“税法上の取得費”で決まります。

建物は年数とともに減価償却されます。つまり、購入当時の価格はそのまま残っていません。売却時には「売却価格 −(取得費 − 減価償却)」で計算されます。ここを理解していないと、体感では赤字なのに帳簿上は利益が出るという現象が起きます。

さらに注意が必要なのは、居住用3000万円控除が使えるかどうか、住民票の移動時期、賃貸に出していた期間など、条件次第で税額が大きく変わることです。税務署で一般論を聞いて安心していても、自分のケースに当てはまらない場合もあります。

現場で一番もったいないのは、「売ってから税金を知る」ことです。価格を決める前に、取得費と減価償却の状況を整理し、想定税額を試算する。それだけで、売却戦略も変わります。場合によっては、売却時期を見直すという選択肢も出てきます。

不動産売却は価格交渉だけの話ではありません。最終的にいくら残るのか。そこまで見て初めて、正しい判断ができます。

売ると決めてからではなく、迷っている段階で数字を確認すること。それが、減価償却の落とし穴に落ちない一番の方法です。